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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

ジミー、野を駆ける伝説/自由の原点の為の闘い 

ジミー、野を駆ける伝説『麦の穂をゆらす風』、『天使の分け前』などのイギリスの名匠ケン・ローチ監督作品。1930年代のアイルランドを舞台に、労働者階級の自由のために闘った活動家ジミー・グラルトンを描いたヒューマンドラマ。ジミーは教会や地主といった既存の保守的な既得権益者の弾圧に遭いながらも若い世代に自由を伝えていく。主演はアイルランド出身のバリー・ウォード。

一貫して労働者階級の目線で作品を作り続けてきたケン・ローチ監督が、久々に直球ど真ん中で自由のために戦う活動家を描いた作品だ。主人公ジミー・グラルトンは実在した活動家で、最終的にはアイルランドを国外退去になった人物。ただその詳細は不明な部分が多いという。この物語は1922年に一度祖国を追われていたジミーが、1932年にニューヨークから戻ってくるところから始まる。そもそも彼が国を追われる原因となったのは彼とその仲間が作ったホールだった。帰郷した彼は、地元の人々からの熱心な依頼で、ホールを再開することを決断するのだが、結局はそれが原因で再び国外退去処分になってしまう。
ジミー、野を駆ける伝説01
といっても別にホールは過激派の活動拠点だったわけではない。何か特別なことをしていたわけではなく、ダンスをしたりスポーツを教えたり、勉強を教えたりしていただけ。要するに、何の娯楽もなく、一様に貧困にあえぐ当時の労働者たちにとって、みんなで集まって何かを学んだり、ワイワイやることは単純にそれが楽しく、ささやかな娯楽だったに過ぎない。が、そもそも当時の教育は教会の仕事であり、彼らが自由の味を覚えて権利を主張することは、資本家階級にとっては決して好ましいことではなかった。ということでジミーとその仲間たちは“反キリスト的”というレッテルを貼られて様々な弾圧を受ける。
ジミー、野を駆ける伝説02
現代の世の中では労働組合であったりとか、労働者階級の権利をという話になると、共産主義的な要素が入り込んでくる。が、少なくともこの物語はもっと単純だ。この辺がケン・ローチ監督の上手いところだと思う。物語ではジミー達のメインの敵は教会のシェリダン神父だった。彼はカトリック教会の保守的思想の権化のような人で、資本家たちと結びつくのはジミーという共通の敵がいるからに過ぎない。つまり政治的な思想対決というよりも、窮屈で心の余裕を許さないカトリック教会の考え方と、日々の苦しい生活の中で僅かばかりの自由を望む労働者との対決なんだ。
ジミー、野を駆ける伝説03
いわば自由の原点の為の闘いと言ってもいいと思う。だからこの作品を観た多くの人たちは「この程度のことも許されないなんておかしいよ。」と感じるハズ。ジミーはシェリダン神父と対決する道を選ぶ前に彼にも教える側に回って欲しいと依頼する。しかし神父はホールの権利を全て教会に渡すならという条件をつけた。もちろんそんなことが出来るわけもなくこの話はご破産になる。と同時に、様々な嫌がらせ、例えばホールに通う人間の名前をチェックし説法の際に発表したり、ほかの教区と共同してジミーたちがいかに“反キリスト的”かを宣伝したりするのだった。
ジミー、野を駆ける伝説04
この辺が日本とは異なる宗教的素地がある欧米人だなと思ったのが、例え敵対していようが弾圧されようが、もっと言えば神父個人は大嫌いだろうが、キリスト教という信仰自体は双方ともに変わらないということ。だからこそジミーの仲間たちももどかしいワケだ。しかも国自体がキリスト教と一体だから、敵対することはすなわち国家に対する敵対になってしまう。そんな中でジミーが語った言葉が印象深い。彼らの行為を神に対する冒涜だというシェリダン神父にジミーは「神への冒涜とは、心の中に愛より憎しみが多い事だ」と言い捨てる。なんて鋭い一言だろう。
ジミー、野を駆ける伝説05
神父でありながらジミーたちに憎しみを抱き、多くの労働者たちに嫌がらせをする、それはキリスト教の教えに反することだろう。それに気付いた神父は、ジミーが国外退去で逮捕移送される時、多くの資本家が罵声を浴びせる中「少しは相手に敬意を払え!」と一喝する。ジミーは去ることになったが、彼が若い世代の心に蒔いた自由の種はしっかり芽吹いていたことが解るラストシーンは感動したよ。それにしても日本との自由に対する意識の違いが痛いほど感じられた作品だ。それは、こうした多くの犠牲を払い闘った結果勝ち取った欧米の人々と、維新の後に自然に上から与えられた日本人の差なんだろうな。
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ストーリー:1932年のアイルランド。内戦終結から10年が経過し、元活動家のジミー・グラルトン(バリー・ウォード)が10年ぶりにアメリカから故郷の片田舎に戻ってくる。ジミーはかつて仲間たちと芸術やスポーツを楽しみ、語り合ったホールを復活させ、住民たちの間には活気が戻ってくる。しかし、神父のシェリダン(ジム・ノートン)が住民を戸別訪問してホールに行かないようにと警告し…。(シネマトゥデイ)



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ジミー、野を駆ける伝説・・・・・評価額1600円

自由の風は止まず。 英国の良心、巨匠ケン・ローチ監督の最新作は、1930年代のアイルランドを舞台に、既得権者の支配に立ち向かった活動家、ジミー・グラルトンの闘いを描くヒューマンドラマだ。 カソリック教会が絶大な力をふるい、様々な政治勢力と結びついて人々の生活を規制してきたアイルランド社会を、自由で独立した大衆のものとしようとするジミーたちの活動は、必然的に大きな葛藤を引き起こす。 ...

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