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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

ビッグ・アイズ/エイミーの素晴らしい眼力 

ビッグ・アイズ1960年代に大きな目が特徴少女の絵が世界中で大人気となった。本作はその絵の作者マーガレット・キーンと、夫ウォルターが妻の絵を自分のものだと偽った事件の裏側を描いた伝記映画だ。主演は『ザ・ファイター』などのエイミー・アダムスと『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツ。監督は『アリス・イン・ワンダーランド』などのティム・バートンが務める。※1月23日よりTOHOシネマズ有楽座ほかで公開

それにしても今から50年以上前に書かれたとは思えない今風の絵だね。当事のアメリカでは奇異に感じられたのだろうけど、俺の世代の日本の少女マンガに馴染んでる人なら、人間の目が“クレイジー”に大きくてもあんまり気にならないんじゃない?逆に言うとこの絵ってとても少女漫画的ってことだね。物語の流れはとても簡単で、作者であるマーガレットが書いたビッグ・アイズを夫のウォルターが自分の作品だと偽り、それが売れまくって大儲けするも、結局最後には嘘がバレるってもの。要するにゴーストライターならぬゴーストペインターの話。まあ去年もどこかの国で聞いたけど…。そもそも何でマーガレットはゴーストペインターになってしまったのか。
ビッグ・アイズ01
この辺はとても丁寧に描かれている。一つには当事は女性は仕事がないと離婚できず、絵しか描けない彼女はウォルターから経済的な自立をする自信がなかったということ。そしてもうひとつは、ウォルターはインチキ野郎だったけれど、彼女自身が彼の絵を売る才能や宣伝する才能を認めていたこと。そしてトドメが、ゴーストライターをすることは、彼女自身が夫とグルで不正をしている共犯関係であったということだ。もちろん彼女自身はアーティストとして自分の絵が夫とはいえ別の人間のものとされることに大きな心理的負担を感じていたし、それをすることで愛娘ジェーンに嘘を付いていることにも心悩まされていた。「目は心を映す窓」マーガレットは何故目を大きく書くのかというウォルターの問にこう答えている。
ビッグ・アイズ02
でもそういう自分が出会った時にウォルターがどんな人間なのか見抜けなかったというのが皮肉だよね。その時は夫と離婚し母娘だけで生きていかなくてはならないと言う不安が彼女の目を曇らせたであろうことは想像に難くない。アトリエに閉じ込められてひたすら絵を描かされるマーガレット。でも彼女は結婚生活が破綻するほど逆らうようなことはしない。ただエイミー・アダムスの演技からはマーガレットの心の重荷がよく伝わってくる。それは正に彼女の目の演技が素晴らしいからだ。不満、後悔、怒り、哀しみ…彼女の目が雄弁に物語っていた。それにしてもウォルターの胡散臭さったらない。それこそ出会いのシーンからして今風に言うならチャラ男だ。
ビッグ・アイズ03
調子よくて外面ばかり気にしてプライドだけは高い。実はココがポイントだと思う。女の絵は売れないという当事の現実、彼が絵を売り込んだほうがマーガレットが売るよりも売れる可能性が高いという現実、それらは確かにその通り。でも本当は画家になりたかったのになれなかった自分の存在より、絵が評価された=妻の存在のほうが評価されたという現実が彼のくだらないプライドを刺激したんだ。物語冒頭で、母子家庭は子供の環境に良くないという理由で、元夫に娘の親権を取られそうになるんだけど、その時ウォルターは迷わず結婚を申し出る。要するにその瞬間から彼はマーガレットを救ってやったのは自分だという意識があったのだと思う。
ビッグ・アイズ04
まして当事は男尊女卑の風潮がまだ色濃く残っていた時代、当然彼は自分が彼女より上の存在だと考える。なにせマーガレットが心の重荷に耐え切れず告解した時、神父は「男は一家の長です。あなたは彼の判断を信じるべきだ。」なんて言っちゃうぐらいの時代だから。この歪な夫婦関係が破綻したのはNY万博に絵を出品した際に、NYタイムズの批評家に酷評されたことからだった。パーティー客の前で批評家相手に怒鳴り散らし、あまつさえフォークで刺そうとする姿は、彼がプライドだけ高いチンケな男だということを際立たせていた。ただ本当にショックなのはマーガレットだよね。色々あったにせよ、描いた作品が多くの人々に愛されているというその現実だけが彼女の支えだったのに、それすら踏みにじられたら彼女は自分のレゾンデートルを失ってしまう。
ビッグ・アイズ05
なのにウォルターはそんな彼女の気持ちに気づきもせずに傷つけられた自分のプライドを保つために彼女さえも攻撃の対象とした。マーガレットの溜まりに溜まった心の澱が一気に吹き出したのはこの時だ。彼女は娘とウォルターから逃げハワイで生活を始める。そしてそこで「エホバの証人」に改宗し真実を表に出すんだ。ま、裁判で裁判長が2人に実際に描かせれば真偽は判明するって…「最初からそうしろよ!」って突っ込みたくはなったけど(笑)押さえつけられていたマーガレットの気持ちがよく解るだけにラストのカタルシスは気持ち良い。でも個人的に「エホバの証人」ってとこがちと引っかかるんだよね。今も決して多数派ではないし、まして当事は推して知るべし。どういう関わり合いだったのかとか、その宗教の何が彼女をそこまで変えたのかとか、その辺は最後は駆け込みで裁判シーンで集約しちゃった感じかな。
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ストーリー:1950年代から1960年代にかけて、哀愁漂う大きな目の子供を描いた絵画「BIG EYES」シリーズが世界中で人気を博す。作者のウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)は一躍アート界で有名人になるものの、何と実際に制作していたのは内気な性格の妻マーガレット(エイミー・アダムス)だった。自身の感情を唯一表現できるBIG EYESを守るため、マーガレットは自分が描いたという事実の公表を考え…。(シネマトゥデイ)



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ジャンル: 映画

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コメント

こんばんは♪

確かに裁判のシーンでは、初めから絵を描かせればすむのに~と思いました 笑
ヴァルツさんはこういう役がハマリますね....ついつい笑ってしまうところも...

URL | yukarin #-

2015/01/24 23:27 * edit *

▶yukarinさん

こういう言い方をするとなんですが、嫌らしい役いいですよねwこの役も観ていて『イングロリアス・バスターズ』のランダを思い出しちゃいました、笑い方がやらしくてw

URL | Caine #5spKqTaY

2015/01/24 23:46 * edit *

私も!エホバの証人にハマったって結局宗教?って思っちゃって
ひっかかったのー。
バートンっぽくない感じもしたけど思ったよりは楽しめたかな。
エイミーもいいけど
ヴァルツさんやっぱりイイ💗

URL | mig #JTxNwRAU

2015/01/25 00:46 * edit *

▶migさん

多分多くの人が引っかかるからさらっと流しちゃったのかもねぇ。ヴァルツはんはこんなん演じさせるとピカ一w得意な役だと思うw

URL | Caine #5spKqTaY

2015/01/25 01:53 * edit *

こんばんわ

クリストフ・ヴァルツのコミカルな演技を見ていると、やっぱりティム・バートン作品だけに皮肉たっぷりにウォルター目線で描いて欲しかったですね。
彼がどのように転落していくか。そっちの方がもっと面白くなっていたかも。

URL | にゃむばなな #-

2015/01/25 23:00 * edit *

▶にゃむばななさん

ヴァルツさんはこういう役をやらせても嫌味にならない珍しい俳優なんですよね。逆にわらっちゃうというか。もちろんエイミーも役にあってましたけど、だからこそ当然エイミー側の視線になると正統派というか、よくも悪くも普通になってしまう。もちろんそれが悪くは無いんですけど、ティム・バートンファンとしては物足りなく感じてしまうってのは確かにあると思います。

URL | Caine #-

2015/01/25 23:44 * edit *

色に出て

ハワイに移住したヒロインがエホバの証人にハマるって
妙にリアルっちゃリアルなんだよねぇ・・・
e-414ヴァルツ氏の演じっぷり
うんうんチンケな男ね!!!
魅せてたよねぇ、夫ウォルターのキャラクター!
当時のマーケティング・トレーダー的に
これは才能!!!!!ってぐらい演技が冴える冴える

60年代のアメリカの町並みタイプライターとか
小道具も良かったわ~

私さぁ
いわゆる同じ話でも誰が話すかによって
お金の影響力に変化が生まれるんだから
結果オーライで今マーガレット・キーン女史も良い思いしてるんだなぁ
って思ったら「嘘をつき続ける生活から抜け出すキッカケになったのが新興宗教に走った」って図式が浮かんじゃった(💦💦💦)

URL | q  #-

2015/02/12 21:56 * edit *

▶qちゃん

>「嘘をつき続ける生活から抜け出すキッカケになったのが新興宗教に走った」

このぐらい追い詰められていたってことなのかもしれないよね。でもどうしても俺ひっかかっちゃうのよねぇ…。ちなみにエイミーってメイクのせいもあるけど意外と古風なアメリカ人の顔立ちじゃない?w

URL | Caine #5spKqTaY

2015/02/13 00:56 * edit *

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