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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

百円の恋/勝ったじゃんか! 

百円の恋国内外からの応募総数151の脚本から選ばれた第一回「松田優作賞」グランプリ脚本(作:足立紳)を『カフェ・ソウル』の武正晴監督で映画化。32歳負け組どっぷりの女がボクサーと出会いボクシングに目覚めながら初めての“一勝”を目指す人間ドラマだ。主演は『かぞくのくに』の安藤サクラ。共演に『愛の渦』の新井浩文らが出演。安藤サクラの文字通り体を張った熱演がみもの。

2015年映画始めは、年末から評判のこの作品にしてみたが、噂に違わぬ素晴らしい作品だった。ただ映画の詳細に関しては、俺にしては珍しく一切の予備知識が無いままに鑑賞したので、まさかこんな展開をみせるとは思ってもみなかったよ。ただ、安藤サクラは美人ではないが、演技力は父親の奥田瑛二を超えたんじゃないかと思うほどの女優だし、共演の新井浩文にしても演技派なのは既知だったんでハズレなどあるはずがないとは思っていたけれど。その安藤演じる主人公・一子が典型的なダメ女だってのは物語の冒頭を見ていたら嫌でも解る。ニートで暗くてブスで、やけに背中を丸めてダラダラと歩く姿は人生の負け組のステレオタイプなイメージそのものだろう。
百円の恋01
離婚して実家に戻ってきた妹と大げんかの末に家を出て一人暮らしをするはめになるのだが、そんな彼女が務めたのがいつも買い物に出かけていた100円ショップというかコンビニだった。でもってそんな一子がいつも通りかかるボクシングジムで練習に明け暮れている姿に見とれていたその人が新井浩文演じる狩野というボクサーだった。そんなベタなシチュエーションに軽~くイラッと来るのだけれどそんなもんじゃない。何故か誘われたデートのために勝負下着を着るシーンで、でっぷりと肉の乗った腰回りに下着が食い込むという、もう呆れるほどのだらし無い身体にはイラツキを通り越えて呆れてしまう。まあもちろんこれは役作りなのは彼女の以前の作品をみていれば一目瞭然なのだけれど。
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しかしこういうだらしない女、ダメ人間、泥臭い演技は彼女の得意とする所だね。下手くそな演技でも美人でいるだけで場の中心になれる華やかさを持った女優は当然必要だけれど、彼女のような女優がいなければ作品は絶対に成立しない。脇役でも主演でも見事なほどに役になり切れるそのレベルの高さには脱帽するしか無いよ。さて、狩野の試合を観てボクシングに興味をもった一子は彼が引退するのと入れ替わるように彼の所属していたボクシングジムに入るんだが、同時に狩野と一緒に住み始める。しかし!人並みの幸せを手に入れたのかと思ったのもつかの間、一子はアッサリ捨てられるんだ。それも豆腐の行商してる女に乗り換えられるという悲惨さ…。
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世間から観ればちっぽけなクソみたいな幸せですら幻想でしかなかったと思い知らされた彼女はそこからボクシングにのめり込み始める。ここからが安藤のデ・ニーロ・アプローチの真骨頂だ。あれだけだらしない体だったのがみるみるうちに絞られスマートに、これについて彼女は10日で落としたというけれど、どんだけストイックにやったんだと。それだけじゃなくシャドウボクシングをする彼女の動きがもう恐ろしいほどに本気で本物。実際には3ヶ月間練習したそうで、その間何度も「プロテストを受けないか」と誘われたんだそうだ。彼女が人並み外れた演技力なのは分かっていても、ボクシングの動きまでああも見事に出来てしまうことにはもう驚きしか無い。
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そしてその本気と本物があるからこそ、一子がこれまで32年間負け続けてきた人生で溜まりに溜まった鬱屈した想い、それをボクシングに叩きつけるあのシーンにただひたすら圧倒され引き込まれる。とはいえボクシングも人生もそんなに甘いモノじゃない、32才で初めてボクシングを始めた人間が運良く巡ってきた試合のチャンスに勝利を掴むことなど難しい、百円の女が今までの百倍努力したからといって一万円の女には中々なれない。でも解っていても、何とか報われて欲しいとリング上の一子を応援してしまう。残念ながら試合に負けた会場の外には狩野が待っていた…。せめて一度ぐらい勝ちたかったと泣きじゃくる一子はたまらなく可愛らしい。勝ったじゃんか!お前の本気と努力が去っていた狩野を連れ戻したじゃん!そう言ってやりたかったよ。
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ストーリー:32歳の一子(安藤サクラ)は実家でだらしない毎日を過ごしていたが、離婚して実家に戻ってきた妹の二三子といざこざを起こし、一人暮らしをすることに。100円ショップで深夜労働にありつき、相変わらずな日々を送っていたものの、ボクサーの狩野(新井浩文)と恋に落ちる。狩野との幸せな日々はすぐに終わってしまうが、ある日、たまたま始めたボクシングが一子の人生を変える。(シネマトゥデイ)



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コメント

ジムのおっちゃんが「嫌いな試合じゃなかったよ」って言うセリフが好きですね。「かっこいい試合」でもなく「評価されるような試合」でもなかったけど、ただひたすらに諦めなかった試合だったのだなあ。

URL | ふじき78 #rOBHfPzg

2015/01/25 00:49 * edit *

▶ふじきさん

うん。あのおっちゃん凄え良いキャラ。カップ麺ばっか食って、ボクシングなめてんじゃねーよ的な発言しつつも、彼女のことをしっかり観てる。一生懸命やる人間にはきっちり相手してるんだよね。

URL | Caine #5spKqTaY

2015/01/25 01:55 * edit *

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『百円の恋』 (2014) / 日本

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2015/01/07 18:48

『百円の恋』

----この映画って、 東京国際映画祭で話題になった作品だよね。 安藤サクラの演技がスゴイって…。 「そうだね。 共演の新井浩文が激賞していることでも話題に。 実はぼくはこの前に『0.5ミリ』という、 やはり安藤サクラ主演の映画を観ていて、 ここでの彼女の演技ですで...

ラムの大通り

2015/01/12 15:23

百円の恋

百円の恋 テアトル新宿 2014/12/20公開 32歳の一子(安藤サクラ)は実家でだらしない毎日を過ごしていたが、 離婚して実家に戻ってきた妹の二三子といざこざを起こし、一人暮らしをすることに。 100円ショップで深夜労働にありつき、相変わらずな日々を送っていたものの、 ボクサーの狩野(新井浩文)と恋に落ちる。 狩野との幸せな日々はすぐに終わってしまうが、ある日、たまたま始め...

単館系

2015/01/24 22:39

『百円の恋』をテアトル新宿で観て、そら安藤サクラを激賞せずにはいらないだろふじき★★★★

五つ星評価で【★★★★主演安藤サクラが頭抜けている】 演出とか脚本とか言う前に一人の主演俳優の存在感だけが際立っている特殊な作品。つまり、この映画その物が安藤サクラの ...

ふじき78の死屍累々映画日記

2015/01/25 00:50

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