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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

アデル、ブルーは熱い色/ほとばしる愛に心が苦しい 

アデル、ブルーは熱い色第66回カンヌ国際映画祭のパルムドールを獲得した作品。この時史上初めて主演女優2人にも同賞が贈られた。フランスの人気コミックを原作にアブデラティフ・ケシシュ監督が実写映画化したこの作品は、『マリー・アントワネットに別れをつげて』のレア・セドゥと『黄色い星の子供たち』にも出演していたアデル・エグザルホプロスの2人のがレズビアンの真摯な愛を熱演している。

簡単にいえばレズビアン同士のラブストーリーだが、女性の非常に繊細な心情を丁寧に描いていた。主人公アデル(アデル・エグザルホプロス)は最初は高校生として登場する。人並みにボーイフレンドとセックスをするも何かが欠けていることに気付くのだが、それが何かは解らない。が、たまたますれ違った青い髪の画家エマ(レア・セドゥ)と知り合い一目惚れする。このアデル・エグザルホプロスという女優は初めて観たけれど、前歯が目立つのと、大きな瞳に丸い鼻がやけに子供っぽくて可愛らしい。本当に高校生ぐらいかと思いきや今21歳だそうだ。
アデル、ブルーは熱い色01
アデルとエマのセックスシーンは当然レズシーンになるんだが、エロと言うより女性の性に対する気持ちがよく表れていると感じた。男の即物的な快楽ではなく、気持ちの充足というのだろうか、結局アデルもそれを与えてくれるエマに夢中になっていく。情熱的に肌を重ねる2人からはお互いに対する強烈な愛情が溢れでていた。アデルは卒業し教師になり、エマも画家として研鑽を重ねていたある日、彼女の作品を披露するパーティーが開かれる。ここが2人のすれ違いの始まりだった。理由は別に特殊でもなんでもない。エマがエマの作品を評価するリーズという女性と仲良くしている姿にアデルが嫉妬したんだ。
アデル、ブルーは熱い色02
自分の作品が世にでるかもしれないという状況になれば、それは画家としてはそこに夢中になるのはやむを得ない。エマの心のなかにアデルの領域が減っていくのを感じた彼女は同僚の男と寝てしまう。家に送ってきた時その男とキスをしていたのをエマに目撃され修羅場になるんだが、このシーンのアデルの演技が凄かった。もうぼろぼろに泣きながらエマに振り向いてもらえず寂しかった事、でも本当に今でも心から愛していることを訴えるんだけど、ほとばしる感情は観ている方の心をあまりにも切なく締め付ける。しかし絶対に許さないエマ。
アデル、ブルーは熱い色03
確かにアデルは間違いを犯したけれど、お願いだから許してあげて欲しい、一緒に頼み込みたくなるほどこのシーンにはのめり込まされた。でも後から冷静に考えると、この2人のすれ違いは必然だったのかもしれない。安定志向のアデルと、自由奔放なアーティストのエマ。それぞれに無いものをお互いに持っているからこそ惹かれ合えたわけで。しかしこの時のエマは作品が売れるということに固まってしまった。極論すれば、アデルはエマの作品が全く売れず、趣味でずっと描いていたとしても、自分が彼女を支え続けるぐらいの気持ちでいたはずだ。その代わりに彼女は心の安寧を得られるのだから。
アデル、ブルーは熱い色04
言うならば2人の立ち位置が逆転した結果が別れに繋がったのではないかと思う。象徴的だったのがこの時彼女の髪色は既にブルーではなくなっていたこと。原題「BLUE IS THE WARMEST」の“WARMEST”つまり熱が失われていたのは、アデルに対する愛情の意味もあるだろうし、その昔持っていた商売抜きのアートに対する熱の意味もあるんだろう。それともう一つ。エマはアデルが自分にべったりではなく、その才能をもっと活かして欲しいと常々思っていた。アデル自身はそんな才能は無いと否定するけれど、このままでは彼女のためにならないと思っていたんじゃないだろうか。
アデル、ブルーは熱い色05
別れてからしばらくして再会し、アデルが復縁を懇願するんだが、彼女は自分の本当の気持ちを押し込めるようにそれを拒絶する。それは彼女への気持ちもそうだし、本当の意味で自由だった自分自身への気持ちもあるはずだ。エマの個展に訪れるアデルがブルーの服を着てきたのは、この先の彼女の人生を暗示しているように思えてならない。きっと自分の殻を破って新しいアデルの人生が始まったということなんだろう。
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ストーリー:教師を夢見る高校生アデル(アデル・エグザルコプロス)は、運命的に出会った青い髪の画家エマ(レア・セドゥ)の知性や独特の雰囲気に魅了され、二人は情熱的に愛し合うようになる。数年後、念願の教師になったアデルは自らをモデルに絵を描くエマと一緒に住み、幸せに満ちあふれた毎日を過ごしていた。しかしエマの作品披露パーティーをきっかけに、二人の気持ちは徐々に擦れ違っていき…。(シネマトゥデイ)



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テーマ: 映画レビュー

ジャンル: 映画

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コメント

こんばんわ

ハングドラムの音色と共に出会い、ハングドラムの音色と共に別れの時を迎える。
こういう演出が静かに光っているんですよね。
そして仰る通り、女性の繊細な心の動きをしっかりと描いている。
改めてフランス映画の芸術性の高さを知った作品でもありました。

URL | にゃむばなな #-

2014/12/18 23:23 * edit *

こんばんわ。
そうですね、フランス映画らしい細やかさ心情表現だったなと思います。着目したところを静かに見つめ続けるというか、そういうところがある種読書に似た感じもして好きなんですよね。
ただ一つだけ言わせてもらうなら、俺はどうしても向こうの女性のすきっ歯が美しいって概念が馴染めんのです(笑)

URL | Caine #5spKqTaY

2014/12/18 23:39 * edit *

共感しました

映画を見終え、言葉にするにはあまりにも生々しい心情でした。
他の映画評を読んで自分が感じた事とズレを感じて落ち着かなかったんです。
でも、共感できる映画評にたどり着けて嬉しかったので通りすがりでコメントしました。ありがとう。

URL | 通りすがりのME #-

2015/06/26 18:23 * edit *

Re: 共感しました

こちらこそ読んで頂いてありがとうございます。
中々自分としっくりと出会う方と出会いにくいお気持ちはよく解ります。
今は殆どfacebookに書いていましてこちらのブログは開店休業状態ですが
アーカイブとして残しております。

> 映画を見終え、言葉にするにはあまりにも生々しい心情でした。
> 他の映画評を読んで自分が感じた事とズレを感じて落ち着かなかったんです。
> でも、共感できる映画評にたどり着けて嬉しかったので通りすがりでコメントしました。ありがとう。

URL | Caine #5spKqTaY

2015/06/27 00:30 * edit *

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