泣く男/流石は元祖韓流四天王
2014.10.22 Wed. 00:41 -edit-
『アジョシ』ではウォン・ビンが傭兵を演じ正に正統派の韓国映画の主役といった感じだったのに対して、今回のチャン・ドンゴンは良い意味での普通さが作品内で生かされていた。例えば一般的な韓流映画では主役の男性俳優はすべからく鍛えあげられた肉体で、主役の主役たる存在感をアピールするものだが、この作品のチャン・ドンゴンはむしろ緩んだ肉体がリアルだった。もちろんプロの殺し屋としての格闘術や銃器の扱いは凄まじいものを見せてくれる。だが所詮はアウトローの人間だ。健康的な細マッチョは現実的じゃない。
つまりそこにあるのは職業的に鍛えあげられた強さではなく、幼いころに母親に捨てられたが故に生きていく手段として強くならざるを得なかった主人公の哀しい生い立ちなのだろう。そしてその生い立ちがこの物語のベースとなっていた。主人公ゴン(チャン・ドンゴン)は任務遂行中に少女ユミを巻き添えにして殺してしまうのだが、彼はそれに大きな罪悪感を感じる。そして殺し屋稼業から足を洗うための最後の仕事が、そのユミの母親もギョンを殺すというミッションだった。
心の中で泣き続けた男がとったのは、自分のミッションを放棄しモギョンを助けるという道だ。組織の送った殺し屋にズタボロにされながらも戦い続ける男の姿は、それが厳しければ厳しいほどゴンの背負った罪の大きさが感じられると同時に、ゴンの哀しい心を痛切に感じさせる。自らに課した役割を果たすと同時に、自らの死に場所を探すゴン。その目は余りに切ない。そして見ている我々は決して彼のことを憎んだりできないし、むしろ一体どうしたら彼は救われるのだろうとまで考えてしまう。
だからこそ彼がその望みを叶えられた時、俺はむしろホッとしてしまった。「苦しかったろうね」「やっと楽になれるんだな…」と。さて、心としてはちとキツイものもあるこの作品だが、一方でアクションとしての爽快さもそれはそれである。とにかく「チャン・ドンゴンつええええ!」というシーンもふんだんに用意されているので、それはそれとして楽しむのもありだろう。いずれにしてもチャン・ドンゴンという俳優の懐の深さは流石だと感じた。
ストーリー:悲しい過去を持つゴン(チャン・ドンゴン)は、中国系マフィアの殺し屋として暗躍していた。すご腕のプロとして名をはせた彼だったが、ある晩、任務遂行中に無関係の幼い少女ユミ(カン・ジウ)の命を奪うという大きなミスを犯す。彼は取り返しのつかないことをしたと行方をくらますが…。(シネマトゥデイ)
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