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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

ストックホルムでワルツを/彼女がテッペンに拘る理由 

ストックホルムでワルツをスウェーデン出身のジャズシンガー、モニカ・ゼタールンドの伝記ドラマ。5才の娘を育てるシングルマザーのモニカが、幾つもの挫折を乗り越えて世界的なアーティストとして成功するまでを描いている。主人公モニカを演じるのは実際に歌手として活躍するもこれが女優デビューとなるエッダ・マグナソン。監督はデンマーク人のペール・フライが務める。

『ジャージー・ボーイズ』のザ・フォーシーズンズが名曲「シェリー」を発表したのが1962年。一躍大ヒットしてブレイクしたその2年後、1964年にビル・エヴァンスとともに出した「ワルツ・フォー・デビィ」がヒットしたことで一躍メジャーになったのがモニカ・ゼタールンドだ。この作品ではその成功に辿り着くまでに彼女が挫折を繰り返しながらそれを乗り越える姿を描いている。そしてその過程では自らの成功のために全てを投げ打ってでも挑戦し続けるチャレンジャーとしての強さと、自らに対する愛を渇望する女性であり娘としての弱さの両面をみてとることが出来た。とにかく凄まじいハングリー精神なんだ。
ストックホルムでワルツを01
5才の娘はもちろん可愛いものの、ニューヨークでチャンスがあると誘われれば例えクリスマスでも飛んで行き歌い、長期間のツアーがあると誘われれば両親に預けっぱなしで出かけてしまう。しかも自分がいちばんチヤホヤされないと気がすまないし、ちょっと人気がでたら、バンドの編曲にまで口出しする始末。いやはや“嫌な女”の典型でありながらも、やはりアーティストとして世界的な成功を収めるためにはこのぐらい自己中心的でなくてはだめなんだろうなと変に納得してしまった。タダ観客以上にこの“嫌な女”を嫌っていたのは他でもない彼女の父親だ。娘には平凡な幸せを得て欲しいと願う父親の気持ちは必ずしも悪いことだとは言えないだろう。
ストックホルムでワルツを02
ただ不幸だったのはモニカが平凡な幸せでは満足できない女性だったこと。それは彼女の男性の選び方にも現れている。バンドのメンバーで、モニカが売れるきっかけとなる「スウェーデン語でジャズを歌ったら」というアドバイスをしたストゥーレは、彼女に淡い恋心を抱いているも、彼女は「好みのタイプじゃない」とバッサリ。でもって著名な映画監督とさっさと結婚してしまうんだからたちが悪い。要するに人間が好きなのではなくて肩書が好きってヤツだね。それでも彼女は一躍スターダムにのし上がっていく。ムカツク女なんだが、歌は確かにいい。これ皆の共通認識。『ジャージー・ボーイズ』同様、この作品も本当に歌手が演じてるだけあってその歌声は流石に聴き入ってしまう。
ストックホルムでワルツを03
まあ世界的な名曲を歌ってるからってのも当然あるんだけど…。ところが、この後彼女に最大の試練が待っていた。ユーロビジョン・ソング・コンテストにスウェーデン代表として出場し、何と0点で最下位という結果に…。これは曲がコンテストにそぐわないってことらしい。モニカは当然のこと、自国の代表が0点という結果に国民までが大ショック、つまりそれは父親も含むワケで。父曰く「だから言ったんだ、お前はほどほどで満足しない」「木登りだって、皆が危険だと気付いて途中で降りてくるのに、お前はてっぺんまで登らないと気がすまない」。難しいよね。娘には幸せになって欲しい、その気持に偽りはないし、だからこそ娘が傷つくと悔しくてそういう言葉になってしまう。
ストックホルムでワルツを04
でもこの言葉は余計モニカを傷つけることになってる。そしてこの辺りから彼女酒量が増えていく。要するに「売れなくなったらどうしよう?」という恐怖から逃れる典型的なパターン。ドラッグの場合もあるけども彼女の場合はそれが酒だったってだけ。この後立ち直って最終的に冒頭で書いたビル・エヴァンスとニューヨークで共演して再ブレイクするってストーリーなんだけど、少し残念なのがビルとのくだりが割とアッサリだったこと。テープ送ったらすぐ一緒に歌って欲しいと電話が来るって、ずっと夢だったという割にはいとも簡単に叶っちゃうのねと思ってしまう。彼女が追い込まれていく様子がかなり丁寧に描かれているだけに、立ち直る過程も丁寧にして欲しかったなと。
ストックホルムでワルツを05
それで多少尺が伸びても構わないし。もっとも、「ワルツ・フォー・デビィ」の歌声をラジオで聞いた父親から初めて褒められるシーンは流石に感動したよ。もしかしたら彼女が売れたい=てっぺんからの風景を見たいってのは、父親に認められたかった、父親の愛が欲しかっただけなのかもしれない。それが彼女なりの父への愛情表現だったんだと思う。

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ストーリー:スウェーデンの片田舎で、両親と5歳の娘と生活しているモニカ・ゼタールンド(エッダ・マグナソン)。シングルマザーとして育児や家事に励み、電話交換の仕事をこなしながらも、歌手としての成功を夢見てジャズクラブのステージに立っていた。そんな中、彼女の歌を耳にした評論家を通じて、ジャズの聖地ニューヨークで歌を披露するチャンスを得る。だがステージで結果を残すことができず、失意のまま帰国する。それでも夢を諦められないモニカは、英語ではなくスウェーデン語でジャズを歌おうと考え…。(シネマトゥデイ)



テーマ: 映画レビュー

ジャンル: 映画

コメント

Top of the World

良い作品なのに観ている人が少なくて残念です。
てっぺんで脈絡もなくTop of the Worldを思い出してカーペンターズのカレンの伝記映画作って欲しいなと思いました。(笑)

URL | まっつぁんこ #L1vigvx6

2014/12/04 20:21 * edit *

俺が観に行った時も、平均年齢高めでしたよ。結局のところ知らないから観ないですよねぇ、もったない(笑)
つか凄い連想ですな、さすが音楽好き!カレンの伝記映画とか凄いヒットしそうなんですけど…。結構魅力的な感じの人生なんですかね?なんていうと変かな?w

URL | Caine #5spKqTaY

2014/12/05 00:02 * edit *

カレン

カレンは拒食症で亡くなるんですけど、大スターが何故そんなことになったのかよくわかりません。深い人間ドラマになるのではないかと思いました。お兄さんとの関係とか。

URL | まっつぁんこ #L1vigvx6

2014/12/17 07:57 * edit *

Caineさん☆
ジャズシンガーやってる友達に誘われて行ってきました。
女性から見てもすごく「嫌な女」に見えそうなのに、私には父に褒められたい一心で必死に頑張る健気な女性に見えてたのでした。
劇場は満席だったわー

URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2

2014/12/17 17:20 * edit *

>まっつぁん
拒食症、へぇ。
でもどっちにしても一流のアーティストってやっぱ死ぬときも凡人とは違うのかねぇ。

URL | Caine #5spKqTaY

2014/12/17 20:00 * edit *

>まだ~む
父に褒められたい…うん、俺もそう思う。
認めて欲しかったんだと。
だからこそ父が来なかったことにあんなにショックウケてるんだよね。結構人気ある作品なんだけど、案外一般的ではないってのがなんともにんともw

URL | Caine #5spKqTaY

2014/12/17 20:01 * edit *

よかった

すごく見たかった映画なんですが、DVDの枚数が少なくなかなかレンタルできなかったんです。そうしたらWOWOWにて放映されたので早速鑑賞しました。
父と娘は本当は本当はとてもよく似た性格なのではないかと思っていました。
互いに愛するが故、ひどい口調でののしってしまったのかも。
それはともかくモニカ・ゼタールンドを演じたエッグ・マグナソンの歌声と美貌に強く心をひかれました。彼女の不遇な最期を知ると、頂上を見たらそれ以上のものはないのかな、と思ってしまします。

URL | ミス・マープル #z8Ev11P6

2016/01/26 14:44 * edit *

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