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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

6才のボクが、大人になるまで。/人生はそれだけでドラマだ 

6才のボクが、大人になるまで。リチャード・リンクレイター監督が6才の少年とその家族を同じキャストで12年間に渡って撮り続けた家族の変遷のドラマだ。主人公メイソンはオーディションで選ばれたエラー・コルトレーン、母親を大ヒットテレビドラマ『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』のパトリシア・アークエット、離婚した父親を『クロッシング』などのイーサン・ホーク、そして姉を監督の娘のローレライ・リンクレイターが演じている。

文字通り主人公メイソンが6歳から18歳までの間に起こった家族の出来事を描き出した作品。とにかく特筆すべきは出演した俳優が実際に12年間に渡ってこの作品を撮り続けているため、リアルタイムに歳を取っていくというところだ。6歳だった可愛い男の子が、18歳の青年に成長する間には実に様々なことが起こるのだけれど、実はそれ自体はそんなに特殊な出来事が起こった訳じゃない。強いて言えば母オリヴィアに離婚歴が多いということぐらいだろう。彼女は子どもたちの父親メイソンSrと離婚後に通っていた学校の先生と再婚するも離婚する。しかし再婚した夫の酒乱が原因で再度離婚。
6才のボクが、大人になるまで。01
今度はパーティで知り合った男ジムと一緒に暮らすも最終的にはまた別れてしまう。面白いのはその間も父親はメイソンや姉サマンサと定期的に会いながら2人は成長していくんだ。もちろん子どもたちの側にも色んな事が起こる。それは当然思春期にありがちな恋の話や性の話、引っ越しによる友達との別れや、将来への不安など、至って当たり前のことなんだけど、だからこそ観ていてしっくり来る。だって俺達も多少の差こそあれ過去に通った道だからね。彼らを観ていると、もしかしたらこれがアメリカにおけるごくありがちな家族の変遷何じゃないかと思ったりもした。父も母も子どもたちに対する愛情のかけ方が圧倒的なんだよ。
6才のボクが、大人になるまで。02
そして子どもたちも反抗しながらも両親への愛とともに彼らのいうことに従うんだ。個人を尊重しながら、だからこそ自己責任の本当の意味を、自由の真の意味を教え、アメリカ社会の中で行きていけるように庇護をする…なんだか昔の日本の家庭の姿がそこには垣間見られた。それが集約されていたのがメイソンの高校卒業のパーティのシーン。2人目の父親から逃げた時にお世話になったキャロライン、メイソンのバイト先の店長、家族を含めた地域や周囲の大人たちが大人の仲間入りをするメイソンを祝うシーンを観ていると、成人式に馬鹿騒ぎする日本のアホウな新成人がガキに思えて仕方なかったな。もうひとつ感じたのは、子どもたちの成長とともに両親も成長しているんだなってこと。
6才のボクが、大人になるまで。03
2人の子どもを何としても立派に育て上げる、そのためにオリヴィアは学生からやり直して教師になるんだ。離婚という失敗を繰り返しながらもその人生の全ては子どもたちに捧げ、だからこそ自分を成長させてきたと言っても過言じゃない。大学生として独立するメイソンを見送る彼女が、自分の人生にポッカリ穴が開いた気持ちになり泣き出す姿は、同じく成長を見つめてきた俺も胸が苦しくなった。父親は父親で、いい加減で夢にばかり生きているような男だったのが、新しい伴侶を得て子どもが生まれ、イイお父さんになっていく。自嘲気味に「今の自分のようなつまらない男をお前のお母さんは望んでた」なんていうけれど、彼は2人の子ども以外に3人目の子どもも育てなくてはならないワケで。
6才のボクが、大人になるまで。04
かつて俺もこの2人の子どもたちと同じように成長してきた。国は違えども、両親が、家族が、同じ町の大人が、学校の先生が、皆が自分を育ててくれた。それらの人たちの気持ちは、もちろんその当時の俺にはよく解らなかったけれど今なら理解できる。きっとこの物語に出てくる皆と同じような気持ちでいてくれたに違いない、そんなふうにちょっと自分のたどってきた道に想いを馳せたりもしていたよ。全く人生はそれだけでドラマだね。

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ストーリー:メイソン(エラー・コルトレーン)は、母オリヴィア(パトリシア・アークエット)と姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター)とテキサス州の小さな町で生活していた。彼が6歳のとき、母は子供たちの反対を押し切って祖母が住むヒューストンへの引っ越しを決める。さらに彼らの転居先に、離婚してアラスカに行っていた父(イーサン・ホーク)が1年半ぶりに突然現れ…。(シネマトゥデイ)



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テーマ: 映画レビュー

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コメント

こんばんわ

そうそう、あのバイト先の店長の祝いの言葉はまさにメイソンが大人になったと認めた言葉でもありましたね。
ほんと、日本の成人式よりもこういうパーティの方が立派な大人を世間に送り出せるような気がしましたよ。

URL | にゃむばなな #-

2014/11/20 23:23 * edit *

一昔前までは日本だって同じようだったように思うんですよね。いつからか個性の尊重やらという、表面上の欧米的思考だけを頂いて、そこにある真の自由に対する責任を教えなくなってしまった。
だから自分が何をしようと勝手でしょ、周りに迷惑かけなきゃ、なんて平気で言えてしまうんですよ。

URL | Caine #5spKqTaY

2014/11/20 23:33 * edit *

人生はそれだけでドラマ。
うんうん、そういうことだよね。
なにげない日常だからこそ、その積み重ねで自分だけの人生をいきる素晴らしさ。
リンクレイター監督またひとつ素敵な作品をのこしてくれました〜✨

URL | mig #-

2014/11/21 10:11 * edit *

過度にドラマチックにする必要がないんだろうね。
だって見つめ続けるだけで十分にしっくり来るもの。
実際に人間を見つめ続けたら本当にそれだけでドラマで説得力がありました^^

URL | Caine #5spKqTaY

2014/11/22 00:36 * edit *

Caineさん☆
きっとアメリカではごく普通の家族なんでしょうね。
結婚離婚はあまりなくても、引越しなどで環境が変わったり日本でも似たようなことが起こります。
こうして人は、子供も大人も少しずつ成長していくのでしょう。

URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2

2014/11/28 01:08 * edit *

うんそうだよね。
でもさ、最近では虐待があって殺しちゃったりって、なんかちょっと狂って来てる気がするんだよね。
こんなはずじゃなかったんじゃないか?って。昔はよかったというつもりはないけれど、どうしてもこの作品の中に古き良き日本…というか自分の子供の頃の良かった思い出をみちゃうんだな…。

URL | Caine #5spKqTaY

2014/11/28 01:56 * edit *

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