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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

レインツリーの国/コミュニケーションに難聴者も健聴者もないという意味 

レインツリーの国「図書館戦争」を書いた人気作家・有川浩の同名小説を実写化。感音性難聴の女性がある男性と知り合い、自らの障害を超えて新たな一歩を踏み出す姿を描いたラブストーリーだ。主演はKis-My-Ft2の玉森裕太、ヒロインをテレビドラマ「ホテルコンシェルジュ」や歌手としても大人気の西内まりやが務める。監督は『阪急電車 片道15分の奇跡』の三宅喜重。聴こえないとはどういうことか、そしてそれに対する健聴者はどうしたらいいのか、単純なラブストーリーを超えた社会的な意義をもつ作品だ。
人は聴こえ難くなると、話さなくなる。
アイドル主演の映画と侮るなかれ。“聴こえ”とはどういうことなのかをしっかりと表現した素晴らしい作品だった。西内まりや演じるヒロイン・人見利香は低音域だけがかろうじて聞き取れる“感音性難聴”の女性だ。そんな彼女が自分を唯一開放できるのは「レインツリーの国」と名付けたブログだけだった。ひょんなことからそのブログに辿り着いた主人公・向坂伸行(玉森裕太)は利香と会うことに…。実は私の友人に“聴こえ難い”を解決するために日々日本中を飛び回っている方がいる。その方は難聴者のために、画期的なスピーカーを開発した方だ。その方は言う「人は聴こえ難くなると、話さなくなるんです。」と。この物語の主人公・利香もそんな一人だった。ロングヘアーで補聴器を隠し、仕事上では言葉での伝達でミスがあっては行けないから筆談をし、映画では字幕付きを見ようとする。言っておくが、彼女は難聴である以外は全てが普通の女の子だ。だから当然恋だってしたい。綺麗でいたい。でも彼女自身の心が自分を縛っているのである。

人と人がコミュニケーションを取るという事
向坂との出会いは、そんな彼女がちょっとだけ希望をもったちいさなちいさな出来事だった。「私だって一度ぐらい男の人と普通にデートできるかもしれない…」しかし、物語では彼女の小さな希望、喜びをぶち壊す出来事が起こる。この物語が素晴らしいと思う点の一つは、難聴者の側だけでなく健聴者の側にも立ってその気持ちが描かれていることだ。健聴者である我々は果たして難聴者に対してどのように相手をしたらいいのか、明確な答えを持っているだろうか?難聴であること以外は普通の人なのだから普通の人と同じように相手をすればいい?いや、やっぱり難聴は難聴なのだから相手に気遣いをしてあげよう?私はどちらも正解ではないと思う。相手は人間なのだ。人間は人それぞれだ。人を相手にする時に、コミュニケーションを取るときに、定形の答えなど無い。つまりそういう意味では健聴者だろうが難聴者だろうが同じなのではないだろうか。向坂は、利香という一人の女性を好きになり、その好きになった人と正面から向き合い、本当の意味でコミュニケートしようとしていた。

我々健聴者が想い至らさなければいけない事
とはいえ、難聴であるということを、難聴者の気持を本当の意味で理解することはやはり簡単ではない。向坂はミスを犯しながらも彼女と向き合い、だからこそ利香も彼を信じ、自分を変えようとしていく。その第一歩が髪をショートにすることだった。ショートにして髪を耳にかけたらもちろん補聴器が見える。電車の中で彼女が車両中の人から「あの人耳が悪いんだ…」と注目を浴びているように感じるシーンがあるのだが、彼女の心の葛藤が痛いほどに伝わってきた。もちろん現実的には補聴器が見えたからといって車両じゅうの人から、一々指差してコソコソ話をされることなんかまずあり得ない。でも難聴者の心の中ではそういう風に感じるのだ。普段からコミュニケーションが閉ざされるということが、そういう心のありようを誘発するのだ。そしてきっと我々健聴者が一番想いを至らさなければならないのは、聴こえ難いことそのものだけではなく、その心のなのだと思う。幸い、利香には向坂が居た。自分の心を乗り越え、敢えて電車のなかで髪を耳にかけて浮かべる彼女の笑顔のなんと素敵なことか!

ラブストーリーとしては割りと良くある展開だが、それを軸に難聴者の、対する健聴者の気持をここまでしっかり表現できている作品は稀だと思う。最初に書いた私の友人はこうも言っていた。「老眼で見難くなっている方のためには、役所とかでも普通に老眼鏡が用意してありますよね?でも難聴者だけは自分で補聴器を用意し、周囲はそれに対して特に何もしない。見え難いのと聴き難いことにどうしてこんなに差があるんですか?」と。こうした作品を通じて、少しでもユニバーサル・コミュニケーションが確立した社会になるようになれば良いなと思った。それがレインツリーの国なのだから。

>>公式サイト
>>シネマトゥデイ
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