ヴィジット/シャマラン監督復活?冗談いうな
2015.11.14 Sat. 23:09 -edit-

■シャマラン版『パラノーマル・アクティビティ』
製作費500万ドルはシャマラン監督自らが出資したらしい。スポンサーなどから本意でない口出しをされたくないからだそうだが、まるで故・若松孝二監督のようだ。要するに自分で金だすんだから好きに撮らせろって話である。しかもそこに『パラノーマル・アクティビティ』のジェイソン・ブラムが関わっているとあって、超低予算でガッツリ儲けるにはある意味うってつけのコンビではないだろうか。実際500万ドルは公開1日で取り戻したそうだ。主人公の姉弟、ベッカ(オリビア・デヨング)とタイラー(エド・オクセンボールド)が母親に贈る映画を作るために自分たちで撮影したその映像で綴られるという手法はそのままパラノーマル同様で、故に映像効果や見え方もパラノーマルそっくりだった。
■3つの約束?なにそれ?
姉弟の母は実家を家出し、祖父母とは縁を切っていた。しかし風の便りで孫が出来たことを知った祖父母は孫達に実家に遊びに来るように言う。子どもたちは母がその間に恋人と旅行に行けるよう気を使い、自ら祖父母の家に遊びに行くことを決めたのだった。で、まあ祖父母の家に行くんだが、そこで3つの奇妙な約束をさせられる…っとフライヤーにもポスターにも書いてある。でもそんな約束のシーンはない。唯一9時半以降は部屋を出ないようにしようというシーンは出てくるのだが、それも別に奇妙な約束でもなんでもなく、祖母が認知症で夜家の中をふらつくからで、劇中でも極普通に流れていくエピソードだ。それよりも祖父に「地下室には絶対に入らないように、カビが酷いから!」と言われている方がよっぽど怪しいし押し付けた約束だと思う。
■何かが映り込むわけでもない退屈な映像
まあいずれにしても延々と姉弟が撮り続ける映像は観ていて退屈だ。何しろそこに不気味なものが写り込んでくるわけでもないし、不思議な現象が写り込んでくるわけでもない。パラノーマルなら、まだ恐怖を煽る映像が沢山登場するのだが、今回は祖母が認知症(ということになっている)で家の中を素っ裸で走り回ったり、四つん這いで走り回ったりする程度が関の山なのだ。なぜこんなことになってしまったのか。答えは簡単で、怪しいのが祖父母自身だから。悪魔だの霊だの、それが人間に取り憑いているだのと言った現象ではなく、一週間を祖父母の家で過ごすうちに、2人の奇行が目につくようになっていったというだけなのである。しかも、祖父母が何を狙っているのかが全くわからない。心霊的な存在でないのは明らかなので、ならば姉弟の生命を狙っているのかといえばそれもはっきりしない。
通常ホラーは、害をなす存在が主人公たちに何がしかのアクションを起こすものである。自分たちの目的に従って。そしてそれがクライマックスへの伏線にもなっている。しかしそういう描写が雑なので、ラストで明かされる真実は「そうだったの!?」とは思うが、ただそれだけだ。なるほど、だからあそこでこうだったんだ、ああだったんだと思うことが無いのだ。地下室の存在もあからさまに怪しく語られていた割には、ラストまで全く出てこない。脚本自体はシャマラン監督が書いたから仕方ないのだが、結局この作品は「かったるい脚本」+「パラノーマルの映像」=「出来損ないホラー」となってしまっている。
◯公式サイト
◯シネマトゥデイ
製作費500万ドルはシャマラン監督自らが出資したらしい。スポンサーなどから本意でない口出しをされたくないからだそうだが、まるで故・若松孝二監督のようだ。要するに自分で金だすんだから好きに撮らせろって話である。しかもそこに『パラノーマル・アクティビティ』のジェイソン・ブラムが関わっているとあって、超低予算でガッツリ儲けるにはある意味うってつけのコンビではないだろうか。実際500万ドルは公開1日で取り戻したそうだ。主人公の姉弟、ベッカ(オリビア・デヨング)とタイラー(エド・オクセンボールド)が母親に贈る映画を作るために自分たちで撮影したその映像で綴られるという手法はそのままパラノーマル同様で、故に映像効果や見え方もパラノーマルそっくりだった。
■3つの約束?なにそれ?
姉弟の母は実家を家出し、祖父母とは縁を切っていた。しかし風の便りで孫が出来たことを知った祖父母は孫達に実家に遊びに来るように言う。子どもたちは母がその間に恋人と旅行に行けるよう気を使い、自ら祖父母の家に遊びに行くことを決めたのだった。で、まあ祖父母の家に行くんだが、そこで3つの奇妙な約束をさせられる…っとフライヤーにもポスターにも書いてある。でもそんな約束のシーンはない。唯一9時半以降は部屋を出ないようにしようというシーンは出てくるのだが、それも別に奇妙な約束でもなんでもなく、祖母が認知症で夜家の中をふらつくからで、劇中でも極普通に流れていくエピソードだ。それよりも祖父に「地下室には絶対に入らないように、カビが酷いから!」と言われている方がよっぽど怪しいし押し付けた約束だと思う。
■何かが映り込むわけでもない退屈な映像
まあいずれにしても延々と姉弟が撮り続ける映像は観ていて退屈だ。何しろそこに不気味なものが写り込んでくるわけでもないし、不思議な現象が写り込んでくるわけでもない。パラノーマルなら、まだ恐怖を煽る映像が沢山登場するのだが、今回は祖母が認知症(ということになっている)で家の中を素っ裸で走り回ったり、四つん這いで走り回ったりする程度が関の山なのだ。なぜこんなことになってしまったのか。答えは簡単で、怪しいのが祖父母自身だから。悪魔だの霊だの、それが人間に取り憑いているだのと言った現象ではなく、一週間を祖父母の家で過ごすうちに、2人の奇行が目につくようになっていったというだけなのである。しかも、祖父母が何を狙っているのかが全くわからない。心霊的な存在でないのは明らかなので、ならば姉弟の生命を狙っているのかといえばそれもはっきりしない。
通常ホラーは、害をなす存在が主人公たちに何がしかのアクションを起こすものである。自分たちの目的に従って。そしてそれがクライマックスへの伏線にもなっている。しかしそういう描写が雑なので、ラストで明かされる真実は「そうだったの!?」とは思うが、ただそれだけだ。なるほど、だからあそこでこうだったんだ、ああだったんだと思うことが無いのだ。地下室の存在もあからさまに怪しく語られていた割には、ラストまで全く出てこない。脚本自体はシャマラン監督が書いたから仕方ないのだが、結局この作品は「かったるい脚本」+「パラノーマルの映像」=「出来損ないホラー」となってしまっている。
◯公式サイト
◯シネマトゥデイ
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テーマ: 映画レビュー
ジャンル: 映画
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