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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

映画「進撃の巨人」前編をダメにした3つのポイント 

進撃の巨人映像化不可能と言われていたところを樋口真嗣監督が映画化したこの作品。公開前から様々な論議を読んでいたが実際に観てきた。結論から言えば酷い作品だ。心配されていた巨人や立体機動の映像に関しては、流石は特技の神こと樋口監督、日本で良くここまで作りこんだと感心した。役者も若手ベテラン含め非常に良い演技だ。しかし映画で最も重要である脚本が決定的に失敗している。
原作を改変したからダメだと言っているのではない。むしろ映画として作る以上改変は当然だと思う。しかしそれは原作の根幹をなすところはきちんと維持した上での話である。この映画(前編)の脚本は決して外してはいけない3つのポイントを見事に外していた。

ダメなポイントその1
何故エレンの母親が巨人に食われるエピソードを入れなかったのか。

原作の流れからして序盤の最重要ポイントである。すべての出発点はここだと行って良いぐらいに。まだ子供だったエレンは巨人の来襲に驚きつつ自宅へと向かう。そこには家の下敷きになった母親がいた。母親はエレンたちを叱りつけて逃がそうとする。エレンたちは軍人さんに助けられるが、母親は食われてしまう。子どもたちを逃がすことを一番に考えていた母親は死の直前「死にたくない…」と泣き叫ぶ。巨人を前にしてあまりに無力なエレン、いや人間たち。絶望とは正にこの事であり、この絶望からエレンは立ち上がっていくのがこの物語なのである。巨人を根絶やしにしてやる、その後のエレンがやたら荒れまくって死に急ぎ野郎とよばれるのも、すべてこの幼き時の絶望感から始まっているのだ。その強烈な意志があって初めて巨人化した時に、他の巨人を殺しまくる彼の存在に我々は納得できる。つまり本作ではエレンが巨人と戦う強固な意志の表現に完全に失敗している。

ダメなポイントその2
何故ミカサとの関係をしっかり描かなかったのか。

原作でのミカサとエレンの関係は、幼き時にミカサを襲った暴漢を2人で殺してしまったという、ある種共犯とも言えるつながりが描かれている。そしてこの時の事件があるからミカサは何が何でも、自分の命にかえてもエレンの側で彼を守ろうとする。それを本作では幼なじみでお互いに恋心を抱いているという、とてつもなく安っぽい設定に変更してしまった。だから本作ではミカサはエレンが窮地に陥っても助けたい気持ちを振りきって巨人に対峙する。違う。100%違う。ミカサは自分を巨人に食わせて、結果としてエレンが食われる結果になっても彼を救いに行くだろう。2人は恋人だとかその程度の関係ではない、魂でつながった関係なのだから。挙句の果てにシキシマがミカサを自分の女のように扱うとエレンが嫉妬するという、もはや手のつけようがないほど下らないシーンまで出てきてしまっては呆れるしか無い。

ダメなポイントその3
何故「調査兵団」の存在意義をしっかりと描かなかったのか。

外の世界に憧れを持つエレンにとって、壁外調査を行う唯一の集団「調査兵団」は正に憧れだった。しかも今のところ巨人と戦える唯一の兵団である。つまり子供の頃からの想いや、母を殺されて巨人を根絶やしにしようと決意しているエレンにとっては調査兵団は彼そのものなのだ。しかし映画ではその存在が著しく軽い。調査兵団に入った者はその大半が死んでいく。だから原作では調査兵団に入ろうとするものは殆どいない。しかし、仲間の死を通してエレンの仲間たちは調査兵団に入ることにする。(エレンは事情があって別の所属の仕方)あるものは泣きながら、あるものは後悔しながら、それでも人類のために「己の心臓を捧げる」のである。そこまでの決意があるからこそ、調査兵団は巨人と戦える唯一の精鋭集団なのだ。断じて本作に登場するようなへっぽこの集団では無い。<追記:町山氏はツイッターで「エレンたちは調査兵団ではなく外壁修復作業員です」と語っているが、だったら調査兵団の制服など着せないで欲しい。>

他にも不満な点は多々あるが、上記の3つのポイントさえきちんと描かれていたならば、物語の本質としては表面上の改変は受け入れられる。しかし、本質を外し表面的な部分だけ描き出しているから何の感動も呼ばない駄作になるのだ。後編に期待をという声もあるかもしれないが、この3つのポイントは既に設定として排除されたものである。従って後編にもとても期待は出来ない。渡辺雄介、町山智浩の両脚本家は猛省すべきだ。そして、TOPに立つ樋口真嗣監督は、前田某にけなされたからとブチ切れて炎上する前にすべきことがあることを知るべきである。
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コメント

こんばんわ

そうそう、映画用に改編するのがダメなのではなく、変えてはいけない部分が何かであることを分かっていないのがダメなんですよね。
本当にとことんヌルい作品でしかありませんでしたね。
原作者と会議を持ってもこの程度って…。

URL | にゃむばなな #-

2015/08/21 00:57 * edit *

▶にゃむばなな さん

なんかこのブログを書いてアップしたあと町山氏はどうもそれを読んだらしく、今回のエレンたちは調査兵団の団員ではなく、壁の補修作業員だとツイッターに流れました。いっちゃ悪いがそんなことほとんど誰も解ってないと思われます…。

URL | Caine #5spKqTaY

2015/08/22 01:41 * edit *

自分のブログでも書いたんですが、
あの映画を見る限りでは、エレンにまったく魅力を感じなかったわけですよ。
それは三浦春馬がどうのというのではなくて。

原作を知らなくてもある程度こんな感じの作品ってのがわかるという程度で
見に行っても「エレンはこんなんじゃないでしょ」って
思いましたからね~・・・。

実は昨日今日でテレビアニメ25話見ました。これなら話題になるのもハマるのも
グッズが売れたり、主題歌紅白にでるとこまでの知名度に至った理由もわかりました。
・・・原作者を交えて会議してなぜこうなってしまったのか
やっぱ納得いかないですね・・・・。(´・ω・`)

URL | Ageha #XO70wnYk

2015/09/17 17:17 * edit *

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こねたみっくす

2015/08/21 00:57

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