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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

寄生獣 完結編/人間もパラサイトも同じ 

寄生獣 完結編岩明均の人気コミックを実写映画化した2部作の完結編。突如現れたパラサイトたちが人間を捕食する中、偶然にも右手にそのパラサイトを宿した新一と、パラサイトたちとの壮絶な戦いを描く。出演は変わらず染谷将太、深津絵里、橋本愛、北村一輝、國村隼、浅野忠信ら。監督も同じく山崎貴が務める。SF映画でありながら人間本来のあり方を訴えるテーマが深い。

原作ファンからは前後編ともに失敗作だと酷評されているんだとか。私も原作は読んだし大好きな漫画だけれど、その私が観たところでは十分に面白く良く仕上がっている作品だと思う。前編ラストでは新一がパラサイト高校生・島田を殺すものの、市長選に当選した広川が今後の先行きを不安にさせるという終わり方だった。今回はその続きだ。警察は新一の存在に気付き、また広川たちがパラサイトだけのグループを作っていることに気付く。言うなれば人類vsパラサイトの闘いの火蓋が切って落とされるというのが全体としての流れになるわけだ。
寄生獣 完結編01
そんな中でこの作品が提示しているのは、人間が人間だけの価値観で他生物の殺生与奪の権を握って良いものだろうか、地球という星の中における人間の存在とは一体何なのだということだろう。それを根底にこの作品は前半と後半に分けられる。前半は田宮涼子が主人公だ。この新一の元担任はパラサイトでありながら人間の子供を出産し、子供に向かって笑いかけるという変化を見せる。愛という感情を理解し、自らの生存よりも優先される事があるということを理解した彼女の存在は、つまりそれこそが人間が人間たる所以であることを表現しているといっていい。
寄生獣 完結編02
戦えば圧倒的な強さで勝てるのにもかかわらず、我が子を守るために命を捨てる田宮の姿は、例えパラサイトであってもそれ以前に母親たった。彼女は言う。「寄生生物と人間は一つの家族だ。我々は人間の子供なのだ。だが・・・我々はか弱いそれのみでは生きてゆけないただの細胞体だ。だからあまりいじめるな」そもそも人間はパラサイトの存在に関係なく何かと共存しなければいきてはゆけない。それは人間同士だけでなく、例えば体内には本来人間に仇なす細菌類も共存している。しかし、いつしか人間はそれを忘れ自らが神になったかの如く傲慢な姿を見せつける…。
寄生獣 完結編03
パラサイトの存在は改めて人間が人間らしくあることとはどういうことかを思い出させる劇薬なのだと思う。それにしても素晴らしいのは深津絵里の演技だ。無表情から始まる微妙な心の変化を、本当に微妙な変化を表情や口元、目元の動きで表現し、私たちにその心を伝えてくれる。彼女の名演技を抜きにして、この作品の前半戦は、いや、この作品のテーマは語れない。田宮が死んだあと、後半は市長の広川の存在と、新一を殺そうと付け狙う後藤との戦いに話は写ってゆく。実は広川はパラサイトではなく人間だった。警視庁のSAT(=人間)に追い詰められた彼は人間の傲慢さを「人間どもこそが地球を蝕む寄生虫!!いや…寄生獣か!」と訴えるも、一方的に撃ち殺される。
寄生獣 完結編04
言葉こそ過激ではあるが、結局彼の言うことも田宮の言っていることと同じだ。要するにパラサイトと人間、両サイドの二者が同じことを訴えている先に見えてくるのが新一の存在である。しかしこの完結編、最後の後藤との戦いのシーン以外は新一が新一らしく活躍するような場面は少ない。どちらかと言えば田宮と広川に食われ気味(笑)なぐらいだ。しかしこれが今の人間社会の現実という意味では実に象徴的だと思う。パラサイトと人間を繋ぐ希望が表には出てこれない、何も出来ない、そんな状況こそが問題なのだという逆説的な表現とも言える。ただし、それは人間に限らない。
寄生獣 完結編05
最後の敵となり新一を殺そうとする後藤は、一人の人間に5体のパラサイトが共存する実験体だが、最終的にはその5体がそれぞれ自らの生存のために本体からの離脱を図り、それゆえに後藤という存在を保てなくなる。なんだ、パラサイトだってなんだかんだ人間と同じじゃないか。いや人間がパラサイトと同じなのか。そう、最初に書いた作品からの提示の答えはつまりそれだ。全ての生物は他の生物との共存なくして生きては行けない。当然ながら人間も同じであり、人間という種の存在理由もそこにある。この作品は、一見突飛もないSFストーリーに見えるが、実は普遍的で当たり前の事をディフォルメして描いているだけなのだと思う。
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ストーリー:新一(染谷将太)の暮らす東福山市で、市長・広川(北村一輝)が率いるパラサイトたちの強大なネットワークが形成されていく。彼らの動向を注視していた人類側は、パラサイトの全滅を図るべく特殊部隊を編成して広川と配下たちの根城となっている東福山市庁舎の急襲を画策していた。静かに対決の時が迫る中、パラサイトの田宮良子(深津絵里)は人間の子供を生んだのを機に人類と共存する道を探る。新一とミギーがその鍵になると考えるが、彼は母親を殺したパラサイトへの憎しみと怒りに支配されていた。(シネマトゥデイ)



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コメント

原作超え

Caienさん☆
私は前編を見た後、一気に原作とアニメも制覇したけれど、我が家の全員、この映画は原作もアニメも超えた傑作だ!と大絶賛してますよ~
老婆のシーンがなかったのは残念だけど、キャストもCGも原作の深いテーマもしっかりと描かれていて、まさに歴史に残る漫画原作映画の傑作と思います。

URL | ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2

2015/04/30 09:59 * edit *

私も完結編、楽しめました。原作は未読で、映画前作は殺伐として今一つ、のれなかったのですが、2作通して観てみてみると、「なるほどね」、って感じです。

URL | スールー #-

2015/05/02 00:25 * edit *

▶まだ~む

結構昔の作品なんですけど、本当によく出来た作品。そして私も書いた通り原作の良さはしっかり受け継いでいるいい作品だと思ってます。何故これが酷評されるのか。ま、原作ものは原作を忠実に再現しないと我慢できない人がおおいからねぇ…(苦笑)

URL | Caine #5spKqTaY

2015/05/02 14:15 * edit *

▶スールーさん

前半は割とSF要素が強い作りでしたよね。ありがちと言ってはなんだけど。でも後半は物語のテーマをこれでもかと直球で表現していたと思います。

URL | Caine #5spKqTaY

2015/05/02 14:16 * edit *

前篇は原作に対するニュアンスが雑な分があったので、ディスるという程ではないけど、かなりのいい出来である事も認めつつ手放しでは喜べなかった。
完結編も勢いに任せて雑な部分もあるのだけど、それを補って余りある役者の熱演にねじ伏せられてしまった。凄いな、深津絵里。Caineさんの記事で「心」と書いてあるけど、パラサイトの心は人間の心とは違う形で動いているという事が分かる、ありえないような演技だった。

種が違うから全く違うロジックの元に手を伸ばしてくる感じは「her」に近いかもしれない。相手が笑いかけてきても、その笑いが人間と同じかどうか分からない。うわ、俺の言ってる事コミュ障みたいだ。

URL | ふじき78 #rOBHfPzg

2015/05/04 06:47 * edit *

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