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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

セッション/彼らは人間である前にアーティストだった。 

セッションサンダンス映画祭でグランプリと観客賞、アカデミー賞では5部門にノミネートされJ・K・シモンズの助演男優賞を含む3冠を獲得した作品。名門音楽学校に通うジャズドラマーと、彼に理不尽なまでの教育をする教授の姿を描き出した人間ドラマだ。主演は『ダイバージェント』などのマイルズ・テイラーと『JUNO』などのJ・K・シモンズ。監督はデイミアン・チャゼルが務めた。

ラスト9分19秒の迫力はもう圧巻だ。これほどまでに濃密な人間ドラマは久しぶりに観た。間違いなく傑作だと思う。本年度のアカデミー賞に作品賞を含む5部門でノミネート、J・K・シモンズの助演男優賞を始め、編集賞と録音賞の3冠を獲得しているのは伊達じゃない。物語は才能あふれる若きドラマー・アンドリュー(マイルズ・テラー)と、彼が通う音楽学校の教授で、エキセントリックで恐ろしく厳しい指導者のフレッチャーとの闘いを描いたといっていいだろう。もちろん闘いと言っても別に殺しあうわけではない。アンドリューの才能を見出しそれを育てようとするフレッチャーだが、それは恐ろしいほどのスパルタだ。
セッション01
理不尽な言葉の暴力でズタズタにされるアンドリューが、それでもフレッチャーに喰らいつき、見返してやろうと手を血まみれにしながら練習する姿はまさしく鬼気迫るものだった。ただその手の展開のお話は別に今までだっていくらもある。大抵はとことん追い込んでもそれは相手の為を思ってのことだから、最後にはお互いに誤解をときメデタシメデタシなんて終わり方なのだが、この作品はそんな生ぬるいことは一切ない。これはある一面アメリカショービジネスの現実なのだろう。一端はバンドの正ドラマーになるも、すぐに若い才能を競わせる。
セッション02
「あんな奴より俺のほうが!」というアンドリューに待っているのはフレッチャーの「闘って勝ち取れ!」のひとことでしかない。追い詰められ追い詰められ、一瞬でも息を抜いたら正ドラマーの座を奪われる。それはアンドリューにとって自分の未来が閉ざされることと同義だ。だからこそ交通事故で血まみれになりながらも彼はライバルにその座を譲ろうとせずドラムに向かうのである。とはいえ気持ちと体は別。当然ながら限界を超えた彼は満足な演奏ができず、挙句に公衆の面前でフレッチャーと諍いを起こしてしまう。それに対して学校の下したのは「退学」だった。
セッション03
何故そこまで?外野は当然そう考える。だが、彼らはその道のプロフェッショナルを目指す人間であり、そのために全てを犠牲にすることに対して私はリスペクトこそすれ、非難はできない。自分の思い通りにならないことに対して、都合の良い理由をつけ、不公平だと非難することしか出来ない日本の若い世代に比べたらなんと崇高なことか。学院を辞めたアンドリューは、ある日町のクラブでフレッチャーと再会する。後で判ることだが、アンドリューは自分をそこまで追い込んだのはフレッチャーだと学院に話したようだ。ともかくフレッチャーも学院を追われている。そこで交わされる2人の会話。
セッション04
この2人の雪解けを思わせるかのようでもあるのだが、これがラスト9分19秒への布石だとはこの時は知る由もない。フレッチャーに誘われるままに、コンサートでドラムを叩くことをきめたアンドリュー。しかしこれはフレッチャーの意趣返しだった…。が、ラスト9分19秒の凄さは、そこまでもつれた2人の情念すら真っ直ぐにしてしまうホンモノの凄さと言い換えられるだろう。アンドリューを人間として葬り去ろうとするほどの強大な悪意は、これはいかなフレッチャーをもってしても、彼を育てるためだとは言えないはずだ。しかしアンドリューはそれを力でねじ伏せる。
セッション05
自らの魂を二本のスティックに乗せて叩き込むが如きあの怒涛のソロパートは、見ているものに呼吸すら忘れさせるほどの圧倒的な迫力がある。そして言葉はかわさずともアイコンタクトで語り合う2人。陳腐な和解劇ではなく、2人は人間対人間の情念を超えたところにある一つの崇高な音楽を紡ぎだすことで協力しあうのだ。彼らは人間である前にアーティストだった。
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ストーリー:名門音楽学校へと入学し、世界に通用するジャズドラマーになろうと決意するニーマン(マイルズ・テラー)。そんな彼を待ち受けていたのは、鬼教師として名をはせるフレッチャー(J・K・シモンズ)だった。ひたすら罵声を浴びせ、完璧な演奏を引き出すためには暴力をも辞さない彼におののきながらも、その指導に必死に食らい付いていくニーマン。だが、フレッチャーのレッスンは次第に狂気じみたものへと変化していく。(シネマトゥデイ)



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テーマ: 映画レビュー

ジャンル: 映画

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コメント

こんばんは

「○○の衝撃」とかのキャッチはたいてい期待はずれに終わるんですけど、これは本当に凄まじかったですね。
これほどまでにシャープで無駄のない映画は久々に観ました。
娯楽性では、今年のオスカー作品賞候補の中でもダントツだったのではないでしょうか。
こんな作品を20代でモノにする作者こそが、音楽界ならぬ映画界に革命をもたらす本物の天才かもしれません。

URL | ノラネコ #xHucOE.I

2015/04/19 01:32 * edit *

こんばんわ

ある意味、この師弟の関係って凄くドライですよね。
どこかで師匠に親心がとか、弟子に真っ当な恩返しとかあるのかと思わせておいて、最後の最後までドライなんですもん。

でもその結果、2人が求めていた最高点に最高の時間帯で達するあの格好良さ。
その瞬間に映画を終わらせるなんて格好良すぎるじゃなイカ!

URL | にゃむばなな #-

2015/04/19 23:23 * edit *

▶ノラネコさん

あの衝撃はマジ参ります。久々に、スクリーンにただただ釘付けにされましたもん。人間の熱、魂を見事に役者から引っ張りだしたあの監督、お見事と言う他ありません。

URL | Caine #5spKqTaY

2015/04/20 01:18 * edit *

▶にゃむばななさん

そのドライなところが現実的というか、良い意味で我々の意識を裏切ってくれましたよね。でもじゃあ落とし所はどうするのか…それがあの9分19秒。うーん、参ったって感じですよ。

URL | Caine #5spKqTaY

2015/04/20 01:20 * edit *

フレッチャーの異常さより、アンドリューの「取りつかれ方」が際立っていたように思いました。

URL | スールー #b5.M5V.g

2015/06/02 23:05 * edit *

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