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MOVIE BOYS

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映画が好きです。だから一生懸命観ます。面白いところをみつけて楽しみたいけど、時としてそれが出来ないこともあります。でもそれも映画です。

悼む人/自分なりの悼み方を見つけたい 

悼む人天童荒太の直木賞受賞作品をベースにしたヒューマンドラマ。自分に全く関係ない人間を悼んで旅をする青年と、その周囲の人々の人間模様を描いている。主演は『横道世之介』の高良健吾。共演に『死にゆく妻との旅路』の石田ゆり子、『海燕ホテル・ブルー』の井浦新、椎名桔平、大竹しのぶ、貫地谷しほり、麻生祐未らそうそうたる俳優が揃う。監督は「トリック」シリーズの堤幸彦。

「悼む」という言葉はよく使うけれど実際どういう意味なのか。ちょっと辞書を調べてみると「人の死を嘆き悲しむ」「人の死を嘆き惜しむ」という意味だそうだ。じゃあこの作品の主人公である坂築静人(高良健吾)が各地を旅してまわりながら、様々な人間の死を嘆き悲しんでいつかというと、これは少し違う気がする。静人は新聞で人が死んだ情報を得るとその現場に向かい、その人がどれだけ周囲に愛されたのか、そしてその人がどれだけ周囲を愛したのか、感謝されまたしたのか、そうした存在であったその人の存在を忘れないように誓いを立てる。
悼む人01
その人の事を決して忘れないように心に刻み込む。静人にとっての"悼み"とはそういうものとして描かれている。そもそも何故静人はそんな事をはじめたのか。それは祖父の死がきっかけだったという。詳細はともかく、静人は例えその人がどんな人物であろうとも、死をのものを受け入れ、その人の存在を心に刻み悼むという行為に差を付ける事はない。いじめで殺された学生の死を悼んでいる時に母親にみつかり、両親は切々とそのやり切れなさを訴える。しかし静人は言うんだ。「犯人を恨んでしまったら、亡くなった人への想いより恨みの想いが強くなってしまう。それでは悼みにならない。」と。
悼む人02
静人の行いを論理的に理解しようとするのは無理だろう。他人である彼がどうしてそこまで死んだ人の存在を心に刻み、受け入れようとするのかは到底理解出来ないし真似出来ない。むしろこの物語の重要な登場人物である甲水朔也(井浦新)の考えの方がむしろ理解はしやすい。彼は自らの存在を愛した人の心に刻むには、その愛した人に殺される事だと考え、妻の奈儀倖世(石田ゆり子)に自分を殺させる。当然刻まれる側の心はズタズタに引き裂かれるが、そりゃ確かに生きてる限り忘れる事はなくなる。だから静人が朔也の事を悼むということは、倖世にしてみればたまったもんじゃない。
悼む人03
自分がこれほどまでに苦しんで文字通り悼んでいるのに、それを2人の間の苦悩を知りもしない他人が知ったような顔で悼んでいますというのだから。倖世は常に朔也の亡霊を目にし、ついには彼の心に残るために自殺しようとするところを静人に止められる。ここで俺はふと思った。相手の心に残る為に相手に殺させることも、静人のように悼む事が出来るのも、それは生きているからだなって。だからもしかしたら生きるということは人を悼むという事なのかもしれない。静人の母親は末期がんで余命幾ばくもない、そして静人の妹は新しい命を育んでいる。
悼む人04
生と死が互いに交差して延々と続いて行く象徴的なラストシーン、人を悼みながら生を営み、その行為は連綿と引き継がれて行く。この作品のタイトルは『悼む人』だけれど、実は「悼む」という言葉は人間に対してしか使われない言葉だそうだ。静人のように分け隔てなく誰の死でも悼むことが出来る程俺は人間ができていないけれど、自分が人間であるために、自分なりの悼み方を見つけて、それを忘れてはいけないのだという事だけは良く解った気がする。
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ストーリー:不慮の死を遂げた死者の追悼を目的に、全国の旅を続けている坂築静人(高良健吾)。そんな彼の行動を疑問に感じる雑誌記者の蒔野は、その真意を暴くべく静人の周囲を調査する。一方、過去に殺した夫の亡霊につきまとわれる奈義倖世(石田ゆり子)は、出所後に訪れた殺害現場で静人と出会い、彼の旅に同行する。(シネマトゥデイ)



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悼む人〜無関係な死

公式サイト。天童荒太原作、堤幸彦監督。高良健吾、石田ゆり子、井浦新、貫地谷しほり、山本裕典、眞島秀和、大後寿々花、佐戸井けん太、甲本雅裕、堂珍嘉邦、大島蓉子、麻生祐未 ...

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