原作漫画は細かいところまでは覚えていないがシリーズを通して何回か読み直すぐらいに好きな作品だった。独特の世界観やキャラクターたちが面白い作品なんだが、俺の中ではほぼ完璧にイメージを映像化してきたと思ってる。過去漫画原作でここまで見事に映像化出来た作品は覚えがないほどだったよ。ある日現れた寄生生物たちは人間に寄生しその脳を奪う。そして人間のみを食料にして生きていく。ところが染谷将太扮する泉新一に寄生しようとしたやつだけはそれに失敗して彼の右手に寄生することになるんだ。右手に宿った生命体はミギーと名付けられるんだが、その声を阿部サダヲが担当している。

この阿部サダヲの声の演技がもう恐ろしいほどにピッタリ。当然そんな生物は現実には存在しないので、それこそ漫画を読んだ人それぞれのイメージになると思うんだが、正に俺の中のイメージでは文句のつけようがないほど。論理的、合理的思考しかしないミギーのセリフはそれだけでは硬いイメージにしかならないが、その思考そのものがユーモラスである必要がある。また、ミギーは新一の右腕に寄生したため人間を食料にする必要がなくなった、つまり新一との関係が喰う者と喰われる者ではなく共同体となったワケで、この不思議なコンビの距離感を阿部サダヲはその声だけで見事に演じているといえる。

一方で普通に寄生が成功したパラサイトたち、田宮良子(深津絵里)や島田秀雄(東出昌大)、A(池内万作)それに新一の母・信子(余貴美子)、この人達の無表情だったり、無理に作る笑いだったりする演技がまた見事。特に深津絵里と余貴美子は流石だよ。乗っ取られた感というか、表情だけで簡単に別人格を作り出せるんだね、このクラスの人達になると。もっとも最初はビビりまくってる新一の変わり様も凄い。Aに心臓を貫かれミギーの細胞によって蘇ると、常人ならざる能力を宿すんだけど、ミギー&新一がAと闘うシーンは悪いけど染谷将太じゃないみたいだった(笑)あ、カッコいいって意味でね。

彼は大体いつもオドオド系の役が多いし、見た目的にも大人し目な感じだから余計にそう感じたのかもしれないけど。クライマックスでは島田秀雄がその正体を表しそれをミギー&新一が倒すシーンがある。ここは弓で心臓を射抜くという風に原作からの改変がされていた。原作では強化された新一の投げた石で心臓を射抜くんだよね。でも個人的にはこの程度の改変は全く問題ないと思ってる。何故弓なのか、使った矢に関してもちゃんと伏線があってそうなってるから、知らない人なら何の疑問もなく受け入れられるはず。さて、実はこの島田の遺体と、その前にミギーが倒したパラサイトの遺体を警察は回収していた。

そこから人間側の戦いが始まるのだけれど此処から先は完結編でのお楽しみだ。エンドロール後に登場する大森南朋扮する倉森、そして終盤で政治家になった広川剛志(北村一輝)、そして謎の人物・後藤(浅野忠信)。いやあ、ムチャクチャ楽しみなんだけどさ、公開が来年の4月25日ってのはどうなのよ?こんな“るろ剣”ぐらいの間隔で一気に見せてくれてこそより楽しめるってもんだと思うんだけどな。もっとも、その間に原作を読み直してみるのも良いかもしれないね。

←Click Pleae♪ストーリー:海辺に漂着した小さな寄生生物、パラサイト。彼らは人間に寄生しては宿主に擬態し、ほかの人間を食料としてむさぼっていく。そのうちの1匹が至って普通の高校生・泉新一(染谷将太)に寄生するが、脳を乗っ取ることができずに右手に宿る。自身の肉体にパラサイトが寄生して驚がくする新一だったが、彼をミギーと呼んで共生するうちに奇妙な絆を育むように。やがて、彼の通う高校に教師・田宮良子(深津絵里)に寄生したパラサイトやって来る。それを発端にほかのパラサイトが次々と出現し、新一とミギーに襲い掛かる。(シネマトゥデイ)
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